音楽家のフォーカルジストニアが起こるメカニズム

フォーカルジストニアは局所性ジストニアとも呼ばれ、いつもできていた動きが突然出来なり、その後も日常生活では問題ないのにある状況においてその動きだけが出来なくなってしまう状態をいいます。色々な職業、動きで見られますが、とくに正確で繊細な動きと感性が必要とされる音楽家の方には起こる頻度が高いと感じます。はっきりとした原因は解明されていませんが、当院のPCRT療法で間違った動きの学習記憶と感情との関係を紐解くことで克服へとつながっています。

発症のきっかけ

発症のきっかけの一つとして、多くが演奏中に起こしたミスの経験や何らかの失敗が引き金になっています。その時の体験から恐怖や失敗を恐れる不安を覚えます。

次に同じ場面(演奏する場面)で、以前に覚えた恐怖や不安が思い出され、また失敗するのではないかという考えになります。
その感情の中で演奏を行い、また同じ失敗をしてしまったとします。

すると、脳の中では、
演奏前の不安・恐怖は失敗する感覚として間違いないと認識します。つまり「この不安・恐怖」=「失敗の動き」と結び付けられてしまいます。そしてそれ以後、同じ場面や類似のシチュエーションでこの不安・恐怖を感じるだけで身体の誤作動(失敗)へとつながっていくのです。これを当院では「誤作動記憶」と呼んでいます。
そしてこの誤作動記憶は繰り返されることによって強化されていきます。そうして、ある場面、ある状況だけにフォーカルジストニアが発症してしまうのです。

ではどのように解決するのか

フォーカルジストニアの原因は誤作動記憶であると考えますので、その克服には正しい記憶を再学習することが有効です。脳には可塑性があり、新しく学習し直すことが出来ます。

間違った神経回路のイメージ図

誤作動記憶のイメ―ジ図です。
失敗や恐怖という感情と身体の誤作動の動きをセットで記憶していると、同じ場面で失敗を感じたり、恐怖を感じると脳でスイッチが入り、自分の意思とは関係なく記憶の神経回路から誤作動の動きの命令が身体に出ます。

正しい動きを再学習したイメージ図

誤作動記憶を正しい記憶を再学習することで、脳の神経回路は新しく上書きされ、誤作動の命令はもう発動せずもともとあった音楽を奏でる神経回路が上手く働きます。

治すために必要な5つのステップ

フォーカルジストニア克服のためには次の5つのステップをクリアしていきます。

  1. 現状認識
  2. きっかけの探求
  3. 原因の探求
  4. 誤作動の認識
  5. リハビリテーション

1.現状認識とは

どのようなフォーカルジストニア症状で、いつ発症するかを明確にします。

大切なのは、
どのような場面でフォーカルジストニア症状が出て、どのような場面なら出ないのかを知ることです。

2.きっかけは何か?

症状を発症した明確なきっかけを覚えているか?もしくは、覚えていないか?さらには、分からないか?

今現在、症状の起こすきっかけは何かを共有します。
覚えていない、分からない場合でもPCRTによって探っていきます。

例えば、人に見られているときと、一人の時でフォーカルジストニアの症状発症に違いが出るかどうか、演奏会の種類によってフォーカルジストニア症状に違いがあるかなどで探っていきます。

3.原因の探求 ~PCRT

原因となるキーワードの特定をPCRT検査で特定します。

PCRT(心身条件反射療法)という治療法の中に、フォーカルジストニアをイメージしながら筋肉の緊張度を図る検査があります。この検査結果は、患者さんと一緒に共有することで、患者さんの潜在意識にある原因を特定することが可能です。

詳しい治療内容は当院の PCRT(心身条件反射療法)説明 をご覧ください。

4.誤作動の認識とは

特定したキーワードがフォーカルジストニアのスイッチを入れていることを体感し認識してもらいます。

ここではあなたの何がスイッチを入れるのかを明確にします。その中でスイッチに関係するキーワードが出てきます。このキーワードを持っている自分ならフォーカルジストニアになってもおかしくないと納得されることを認識と言っています。

さらには、「腑に落ちる」というレベルでの認識になることが症状改善に直結します。

5.リハビリテーションにより完全な克服へ

特定したキーワードはフォーカルジストニアを引き起こす神経回路と直結しています。この神経回路は脳内に作られた神経の束です。

この神経回路は「感情」「恐怖」「未来の不安」などを感じ取るとスイッチが入り、誤作動の命令を出します。

脳内で何がそうさせるのかを知り、誤作動命令しないように再学習するのが認識ですが、この新しい神経回路は強化することが重要です。フォーカルジストニアの期間が長いとすぐに誤作動回路に戻ってしまいます。再学習を繰り返すリハビリテーションで正常な神経回路を強化すればフォーカルジストニアを克服することが可能です。

フォーカルジストニアで悩んでいる方へ

フォーカルジストニアの原因は、脳内で起こる記憶の問題です。その治療として手術を選択される方、薬を使用される方も多いと思います。しかしその前に誤作動している記憶への治療を行ってみませんか?

記憶の治療は目に見えません。しかし治療を「感じてもらう」ことは出来ます。それはサイエンスでは計り知れない、人間が持っている治る力のスイッチを入れる治療です。サイエンスかアートかと聞かれるとアートの要素が多い治療になります。

自分の治る力をアートする。

フォーカルジストニアになられた音楽家の方々には分かる内容だと思います。それは、音楽もサイエンスではなく、アートだからです。

あなたの中のアートの力も使ってフォーカルジストニアを克服せんか。