監修:WHO国際基準カイロプラクター 土子 勝成
Bachelor of Chiropractic Science(B.C.Sc.)
カイロプラクティック理学士
腰痛の本当の原因とは
「あなたは腰痛持ちですか?」
この問いに「はい」と答える日本人は約1320万人であるとの調査結果があります。
自覚症状の状況 調査
厚生労働省 平成 28 年 国民生活基礎調査より
男では「腰痛」での有訴者率が最も高く、9.18%
女では「肩こり」が最も高く、次いで「腰痛」11.55%
(入院患者を除く)
東京大学が実施した調査では腰痛の有病率は38%、4500万人という結果も出ています。
参照文献:『プロフェッショナル腰痛診療』
山下敏彦編著 / 西良浩一編著 / 金岡恒治編著<中外医学社>
多くの方が抱えている腰痛ですが、腰痛の80%近くは「本当の原因がよく分かっていない」のです。
参考: 『The New England Journal of Medicine(NEJM)』
Richard A. Deyo, M.D., M.P.H., and James N. Weinstein, D.O.
:N Engl J Med 344:363-370,2001
しかし、最近の研究から腰痛の原因が段々と解明されてきました。
2021年 慢性腰痛動画
治療して分かった!腰痛の本当の原因動画
「機能的」側面と「心因的(ストレス)」側面
原因が分からないとされる80%の腰痛は大きく2つに分けられます。
「機能的」側面に原因がある腰痛と
「心因的(ストレス)」側面に原因がある腰痛
です。

初期の腰痛は「機能的」側面が原因のことが多いです。
動かして痛むというのは機能的なことに問題があります。
しかし、腰痛が慢性化してくると動きに加えて、「会社に行く」とか「あの人に会う」といった場面や感情によって腰痛が起こることがあります。
それは「心因的(ストレス)」側面が原因の腰痛です。
痛みは信号です。
信号は痛む腰から出ている場合(1)と、脳から出ている場合(2)があることが確認されています。

痛みの信号は、機能的な腰痛は「腰」から、心因的な腰痛は「脳」からと思われがちですが、じつはそう単純なものではなくそれぞれが深く絡み合って腰痛を作り上げています。
インターネットで「心因性腰痛」と検索したら、沢山の情報がヒットします。
心因性腰痛=ストレス腰痛と一般的に認識されてきましたが、
じつは、「ストレス」の捉え方は間違っていることが多いようです。
本来、腰痛に関わるストレスとは、自分では気づかないストレスを言います。
自分で気づいているストレスは腰痛につながらないと臨床的に感じています。

自分では分からない、気づいていないから腰痛になっているのです。

では、それぞれの腰痛について詳しく説明したいと思います。
機能的な腰痛
機能的な腰痛の特徴は、
・動かないで寝ているのが楽
・動きに伴って痛いが増す
動きで痛みがある場合は、腰の機能障害の可能性大です。
機能が回復すれば腰痛から脱出できます。
もし、動かないのに激痛(かなり痛い場合)を感じるようでしたら、内臓の問題を疑いますので速やかに専門医への受診が大切になります。

ご自身の腰痛が機能的な腰痛だと感じたら機能面を改善する治療が必要です。
機能的な腰痛治療にはアクティベータ治療が効果的です。
機能的な問題から起こる腰痛の治療法については次のページをご覧ください。
【詳しく見る】
機能的な問題から起こる腰痛の治療方法
機能性腰痛の腰痛解説②
心因的(ストレス)な腰痛
心因的(ストレス)な腰痛の特徴は、長期化です。
通常、風邪を引いても数日で治りますし、骨折をしても数週間で骨はつきます。
ところが慢性腰痛になりますと、数年間腰痛を患っているとか、腰痛があるのが当たり前になっている場合があります。それは心因的な要素により、腰痛が繰り返される悪循環サイクルが出来上がっているからです。

人間の身体は調子が悪くなっても治る力=治癒力が備わっています。
それなのに治らないというのは、腰痛を引き起こすスイッチのようなものがあります。
ご自身の腰痛が心因的な腰痛だと思われる方は腰痛を引き起こすスイッチを切る治療が必要です。
それにはPCRT(心身条件反射療法)が効果的です。
心因性が原因の腰痛についてその病態と治療について次のページでそれぞれご説明します。
【詳しく見る】
ストレスで腰痛になる(心因性腰痛)とは
【詳しく見る】
心因性が原因で起こる腰痛の治療方法
機能性腰痛の腰痛解説③
治療の一歩は腰痛のタイプを見極めること
腰痛は「痛み」というシンプルな症状に見えますが、
じつのところその原因は様々で、長期になるとそれらが複雑に絡み合って症状自体も複雑になってしまっています。
マッサージでも湿布でも改善しない腰痛は、
その原因をはっきりさせて根本治療で対処していくことが大切です。
